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虹色の奇跡 第396回「デザイアクレイドル」 - いけやん

2013/12/31 (Tue) 19:32:23

キーパーソン:グウィネス

「ダグバ……」
ダグバが目を開く。自分が倒れているのに気付く。誰かが自分を膝枕し、覗き込んでいるが、逆光なので誰なのか分からない。
「ダグバ……」
懐かしい声がした。
「母上!?」
眩しさに目が慣れていく。直後、ダグバは驚きに息を呑む。ダグバの目の前にいる女性――母親の笑顔がそこにあった。
「そんな…こんな…ことが……」
思わず後ずさる。そこはベッドの上。途切れそうな呼吸を整えつつ、口をパクパクさせながらダグバは問う。
「本当に…母上?」
「そうですよ、ダグバ」
ダグバは辺りを見回す。木の家の一室のようだ。窓の外からは広大な花畑が見られる。ダグバの瞳から涙が流れる。
「母上、愛しています」
「私もよ、ダグバ。あなたは私の宝物」
「母上…」
ダグバは恥ずかしそうに上目遣いで、
「俺、ずっと寂しかったんだ。母上と会えなくて。これからはずっと一緒にいられる?」
「もちろんよ、ダグバ」
2人はがっしりと抱擁する。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


グウィネスが構えていた杖をゆっくりと元に戻す。満足そうな笑みを浮かべているグウィネスに、カオスシャマルが言う。
「『デザイアレクイエム』発動成功ですね」
「ええ」
グウィネスは簡単に返事する。
「しかしよろしかったのですか? ご自分の父親を実験台にして」
「言ったでしょ? あの男のことはもう父親だと思っていないって。でも、殺さずに『デザイアクレイドル』に送ってあげただけ、せめてもの慈悲よ」
「はい。これでン・ダグバ・ゼバの魂も救われることでしょう」

デザイアクレイドル――そこには幸福のみが存在している。苦しみや悲しみは一切…ない。文字通り夢のような世界。デザイアレクイエム(願望の鎮魂歌)を浴びることで送られる。
――滅びゆく世界からの唯一の救済方法がこの世界へ送られること。グウィネスはそう信じて疑わない。

犬耳の男――カオスザフィーラがやってきて報告する。
「報告します。現在ブラックスターは――」
「その必要はないわ。すべて“見て”いたから」
「なんとっ!?」
カオスザフィーラは目を丸くする。この短期間でのグウィネスの成長ぶりは目を見張るものがある。グウィネスは不敵に笑い、
「ブラックスターは崩壊。ディバインクルセイダーズは壊滅。魔界はジェネシスの攻撃で大地の7割が焼け野原。神界もジェネシスで大地の半分近くが消失。アイゼンクロイツの本拠地・ホワイトスターはまだ残っているけど…時間の問題ね。いい気味だわ」
グウィネスはDCもACも憎んでいた。魔王であるダグバやその家臣らとは生まれたときからいがみ合ってきた。神界の者達も、多くの魔族の命を奪ってきた。どちらも滅んでしまえばいい。救済なんてしてやらない。
ご機嫌に見えるが、言葉を間違えるとすぐに激昂するグウィネス。カオスザフィーラが言葉を選びつつおずおずと尋ねる。
「では、他の世界や組織は?」
グウィネスは、今度は悲しげに首を振る。
「ああ、DCやACの連中以外は、せめてデザイアクレイドルへ送ってあげられればよかったんだけど…」
グウィネスは目を細め、美しい宇宙を眺める。
「ウェイアードすべてを救済する。その後は周辺世界。そして――」













どうも、郵便局アルバイトに励んでいるいけやんです。うわぁ、もう2013年が終わるよ…(汗)
本当は今年中にもう3回分くらい投稿したかったですが、もう間に合いません(苦笑)
第397回はほとんど完成しましたが…慌てて投稿せず、来年になってからゆっくりと推敲したいと思います。

ということで、今年は3回しか投稿できませんでした。当初、少なくとも2か月に1回の割合…全部で6回くらい投稿したかったのにそれにすら全然足りず…。スミマセン(汗)
あと4,5話くらいでいったん「虹色の奇跡」を完結させる予定です。応援してくださっている方、どうかお付き合いくださいませ。

今年も楽しかったです。映画館で観た映画は全部で6作品。どれもアニメ化特撮だけだなぁ(汗)
「仮面ライダー鎧武」は最初こそちょっと微妙に感じましたが、登場人物が揃ってきてだんだん面白くなってきました。これからどんどん盛り上がっていくことに期待しています。
キョウリュウジャーは10人揃いましたね。トッキュウジャーはどんな感じになるのやら。

では、来年はもっと充実した日々にしたいと思います。よいお年を。

Re: 虹色の奇跡 第396回「デザイアクレイドル」 - bebe

2014/01/15 (Wed) 09:09:22

どうもbebeです。こちらではお久しぶりです(汗
ダグバ…この男のどろどろした性格の裏に、優しい母親との邂逅があり、いや、むしろ今までの悪行の原動力とも見て取れる気がします。
非業の最期を予感していましたが、思いもよらず。最愛のお母さんと嫌なことがない世界で幸せに暮らすがよい(びしっ!
不穏なグウィネスの存在がまだ残っていますね。戦える者たちはほぼ満身創痍の中、止められる戦士は?

さあ、2014年。せめて月イチで投稿できたらなと。休んでいる間(大汗)に色々とイイアイデアが思い浮かんでいますので、それを形にしていきたいなと。
今年もよろしくお願いします!

bebeさんへ - いけやん

2014/01/15 (Wed) 14:43:18

こちらこそ、こちらではお久しぶりです。
私も投稿ペースを上げたいですが…。なにぶん、勉強のために執筆する機会が増えそうです。なので、版権ありのキャラを登場させる二次創作ストーリーを作ってばかりいられなくなります。完全に私が創造したキャラの話なら、勉強やコンペの応募に転用できそうなんですけど(汗)
今年もよろしくお願いします。

Re: 虹色の奇跡 第396回「デザイアクレイドル」 - ALBINO

2014/05/05 (Mon) 00:32:27

お久しぶりです。
冬の間に読ませていただいていましたが、気付けばもう5月……
どうにもいろんな事に気が乗らなくて……仕事には行ってますが。
休みを取って久々に連休ができたのでいろいろ発散して少しスッキリ。

作中の一大勢力がついに壊滅したり、一見崇高なようでその実かなりえげつない理想を掲げる王女がとうとう動き出したりと、物語が大きく動きました。
あと数回で作品は一旦の終わりを迎えるという事で大変寂しく思いますが、今はまだ続いているわけで、最後まで応援させていただきます。

それでは(*゚∀゚)ノ~

……遅くなりましたが、今年もよろしくお願いします。

ALBINOさんへ - いけやん

2014/05/08 (Thu) 17:00:19

メッセージありがとうございます。とても励みになります。

「いったんの終わり」とはいっても、その先の構想も一応あるんですよね。いつか形あるものにしたいとも考えているんですが、なかなか実行に移せなくて(^^;
私も気が乗らないことが多いです。でも、なるべく早期に投稿していきたいです。
最後までよろしくお願いします。

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